2006年 08 月 19 日 ( 13 : 44 )
退院支援施設
精 神 科 病 院 に 「 退 院 支 援 施 設 」
入院患者減らし数合わせの懸念 精神科病院の一部の病棟を
「退院支援施設」に変える計画を 厚生労働省が打ち出したが
名目だけの 入院患者減らしになる おそれがある。
(2006年8月19日 読売新聞、大阪科学部 原 昌平)
32万人を超える 精神科の入院患者を どうやって減らすかは
障害者が健常者と 分け隔てなく らせる 社会にするうえで大きな課題だ。
そこで 政府が2002年末に 閣議決定した 「新障害者プラン」は
入院中心から 地域生活中心への 政策転換を打ち出した。
とくに 行き場がないために 退院できない 「社会的入院」 の
7万2000人については 10年以内の解消を掲げた。
だが入院患者数の減少は 最近6年間で約8000人。
とうてい目標に届く ペースではない。
そうした中で 厚労省が関係の審議会にも 説明しないまま
唐突に出してきたのが 「退院支援施設」 だ。
生活能力の低下した患者が 段階的に地域生活へ
移行するための施設…というのが
同省の説明で 病床を減らす代わりに 入所施設をつくり
そこで生活訓練を行う。
標準利用期間は 2〜3年。
病院敷地外に建てる場合は 20〜30人規模で 個室が条件だが
病棟の転用なら 20〜60人規模で 4人部屋でも認める。
その工事には 1件1億円前後の 補助金が予定され、
運営の財源は医療から 障害者自立支援法によるものに 移される。
まず疑問なのは この施設に移った人は 退院したのか、退院していないのか
不明確なことだ。
もしも施設に 変えただけで 「入院患者数が減った」 と言うなら
数字だけの帳尻あわせに過ぎない。
より肝心な問題は 本当の退院促進に つながるか どうかだ。
施設のスタッフは 入所者6人につき1人で病棟の最低基準より
少なく資格も必要ない。
(患者48人につき1人の医師と 4人につき1人の看護職員)
かえって 援助が手薄になり <ついの住みか> になってしまう
心配はないのだろうか。
厚労省障害福祉課は 「そういう問題意識は我々にも当然ある」 と言うが
具体的な歯止めは 示されていない。
社会復帰施設の立地が 地域住民の反対で進まない 現実は確かにある。
だからといって 病院の敷地や 隣接地につくることには
障害者団体や 医療従事者団体から 批判が強い。
すでに 病院敷地内にできた施設では 退院した実感を持てない入所者が
「早く退院したい」と障害者団体に 相談してくるケースもある。
住民の偏見が問題なら それをなくす啓発を行政が
もっと行うべきだし入所施設は 真に必要なものに限るのが
新障害者プランの理念だ。
東京の精神障害者団体 「こらーる・たいとう」代表の 加藤真規子さんは
「人生の時間を奪われてきた長期入院患者は、国の隔離収容政策の犠牲者。
地域に行き場をつくる正攻法に力を入れず 施設入所を続けるなら
ハンセン病と同じ過ちをたどる」 と話す。
力を入れるべき 本来の重点施策は 公営住宅の活用 民間アパートの
保証人確保 地域でのグループホームの 設置などのはずだ。
竹端寛・山梨学院大講師 (精神保健福祉) は
「大阪府では5年前から 退院促進事業に 取り組み入院経験者らを
ピアサポーター(仲間の援助者)として雇い
入院患者を励ましながら 実績を上げている。
そうした事業に費用を向けるべきだ」 …とも指摘する。
一方 院内の中間施設を 要望してきた 日本精神科病院協会の
長尾卓夫副会長も
「手薄な体制の施設に変えるのは、我々の要望とは違う」 と言う。
医療費削減が狙いならば 今回のプランは
精神科医療の底上げという 課題にも逆行する。
国は 小手先ではなく まっとうな退院促進対策に 取り組まないといけない。
病床数 世界で突出
日本は世界一の 「精神科病院大国」だ。
入院患者数は人口比でも絶対数でも飛び抜けて多い。
他の先進国が1960年代から80年代にかけ
入院医療から地域生活の支援へ政策の重点を変えていったのに
日本は民間病院のベッドを増やし続けたためだ。
2002年の調査では、入院5年以上の患者が43%、
20年以上の患者も15%を占めている。
今なお平均在院日数も約350日と長い。















コメントの投稿